【KZ Acoustic ZAXレビュー】ZAXは音楽をドラマティックに聴かせる魔法のハイブリッドイヤホン。ZAXは音楽をドラマティックに進化させる。
圧巻の16ユニット!! |
はじめに
こんにちは。朝晩の気温が本当に涼しくなってきました。窓を開けて寝ていると、朝起きた時に部屋の中が寒く感じるくらいですが、皆様は風邪などを引いていないでしょうか?本格的な寒さを迎えるまで、まだしばらく時間があると思いますが、少しずつ秋冬の準備をしていこうかなと思っています。
フェイスプレートは高級感のある金属製 |
様々なメーカーから販売されているほとんどのイヤホンは、イヤホンの片側に1つのドライバーが搭載されているものが多いです。一般的には搭載されているドライバーの数が増えれば増えるほどに販売価格が高くなっていきます。複数のドライバーが搭載されたイヤホンから良い音を出すには、搭載されたドライバーから出る音が適切にミックスされることが必要になるため、たくさんのドライバーを搭載すると、その調整に手間暇がかかります。また部品点数が増えると、当然のことですが単純に部品代の分だけ値段があがってしまうというわけです。
例えば当方が以前の記事で取り扱ったShure社のSE215というイヤホンは片側に1個のDDを搭載していて、その販売価格は約1万円です。同じくShure社のイヤホンであるSE535では片側3個のBAを搭載していて、更に上位モデルのSE846は4個のBA搭載しており、それぞれ、お値段は約5万円と約10万円です。非常に高価ですが、複数のドライバーを搭載したイヤホンの世界では極端に高価とは言えない価格設定だと思っていただいて良いと思います
Shure SE215 |
ちなみにKZ Acoustic社のイヤホンだと、AS06という片側3つのBAを搭載したイヤホンは約5,000円です(AS06も以前の記事で紹介しました)。ドライバーの数だけで言えば、Shure社のSE535と同じです。そしてKZ Acoustic社のフラッグシップモデルのAS16は片側8個のBAを搭載していて、そのお値段は13,000円程度します。KZ Acoustic社としては高価なイヤホンですが、Shure社のSE846と比べてしまうとAS16はかなり安く感じますね。そして今回取り上げているKZ Acoustic社のZAXは前述したようの片側8個のハイブリッド構成のドライバーを搭載していて販売価格は7,000円前後です。正直言って何かの間違いのような金額ですね。
もちろん、高いものには高いだけの理由があるとは思います。Shure社はプロ仕様の音響機器を販売しているメーカーです。そんなShure社のイヤホンは音楽や音響のプロ達が、スタジオで音のモニタリングに使うことを目指して作られたようなイヤホンです。きっと、モニタリングに特化したその音質故に、現場のプロや音響ファンから絶大な人気を誇るようになったのでしょう。音の微妙な違いを観察して、ベストな音を聴き分けることを目的に、徹底的に研究されて作りあげられたイヤホンだからこそ販売価格が高いのだと思います。
今回取り上げているKZ Acoustic社のイヤホンは、一般ユーザーが音楽を楽しむことを目的に作られたイヤホンだと思います(直接KZ Acoustic社に聞いたわけではないですが(;^_^A)。KZ Acoustic社のイヤホンは、音楽を楽しむことを目的に作られたイヤホンなので、音の味付けに個性があるモデルが多く、特に「ドンシャリ型」と呼ばれる出音傾向のモデルが多い印象です。例えば、KZ Acoustic社から最近発売されたZSTXというモデルは、低価格なモデルにも関わらず1DD&1BAという2つのドライバーを搭載しています。同時期にZSTXと同じドライバー構成のZSN PRO Xというモデルも発売されましたが、どちらもドンシャリの「ドン」部分、すなわち低音が効いたモデルで価格からは想像ができないような刺激的なサウンドを耳に届けてくれます。この低音には新設計の二重磁気ダイナミックドライバーが影響しているようです。今回レビューするZAXも、Amazonの商品説明見る限り同じような雰囲気のダイナミックドライバーが使われています。名称はデュアル磁気回路複合ダイナミックユニットとなっており、日本語ページを作った人の翻訳が違ったのか、それとも違うドライバーユニットなのかはわかりませんが、そのあたりも注目(注聴?)していきたいと思います。
新世代Xシリーズの入門機ZSTX |
使ってみた
さて、Amazonで9月2日に注文して、届いたのは9月24日・・・本当に長かったです。写真のような、非常に怪しげな梱包で届きました。最近、中国から怪しげな種が勝手に送られてくるというニュースが巷を賑わせていましたが、この梱包は中々ハイレベルな怪しさです。以前は白い袋が多かった気がしますが、今回は黒。中身を見せてはいけないかのような、非常にハイレベルな怪しさを醸し出す梱包です。
怪しい雰囲気 |
何か怪しいものを輸入していると思われても仕方がない、そんな「いけない雰囲気溢れる梱包」を開けると出てきました。いわゆる黒箱タイプです。何気に初めて黒箱に当たって少し嬉しいです。箱を開けると・・・
憧れの黒箱 |
黒い内装に、金属パーツが三つあります。二つはもちろんイヤホンです。残る一つは、ご存じの人もいるかと思いますが、黒箱KZに付属する使用目的不明のプレートです。折角なので、こんな感じで写真を撮ってみました。この使い方であっているかはわかりませんが、多分あっていると思います(^_-)-☆
記念撮影の時に使うプレートのはず |
付属品はイヤホン、謎のプレート、シリコン製イヤーピースが3種類と銀メッキケーブル、後は説明書と保証書関係の書類が数枚入っています。人気YouTuberのセゴリータ三世さんに倣って匂いを確認しておきましょう。知らない方もいるかもしれませんが、KZのイヤホンは匂いも楽しむ仕様となっています。私は初心者なので、ケーブルの匂いのみチェックしてみたのですが、歯医者さん系の匂いがしました。消毒でもしているのでしょうか?匂いが気になる人もいると思いますが、数日間使用すればおそらく匂いは取れると思います(一応匂いが取れたら追記したいと思います)。
追記
Q:ケーブルの匂いは取れますか?
A:一週間程度普通に使っていれば匂いはしなくなりました。
付属品はこんな感じ |
イヤホン本体を眺めてみましょう。片側8つのドライバーが収まっているにも関わらず、その筐体は思いの他コンパクトにまとまっていて、KZ Acoustic社のエントリーモデルZSTXと同じくらいの大きさです。イヤホンのフェイスプレートは鋳造亜鉛合金製です。金属製のフェイスプレートはパールクロームメッキが施されていて上品でやわらかな輝きと高級感があります。イヤホンの筐体の裏側は透明な樹脂製です。ZAXのカラーバリエーションはシルバー×クリアブルーとブラック×クリアブラックの2タイプあります。私はシルバー×クリアブルータイプを選びました。クリアブルーの筐体からは、ぎっしりと詰まったドライバーユニットが見えます。全体的にメカニカルな感じで、個人的には「The
男子」なデザインだと思いました。もちろん女性が付けてもカッコいいとは思いますが、メカ好き男子にはたまらない何かがあるデザインだと思います。
四角いBAユニットがギッシリ!! |
付属ケーブルのピン部分はクリアで、金メッキされたピン部分までもがデザインの一部になっているかのように感じます。最近発売された「新世代Xシリーズ」(ZSTX、ZSN Pro X、ZAXなどモデル名の後ろにXがついたシリーズを勝手にこう呼ぶことにします)は標準で高純度銀メッキアップグレードケーブルがついてきます。個人的には、従来の見るからに「銅」の付属ケーブルも嫌いではありませんが、銀メッキケーブルの方が高級感があって、ある意味(!?)ちょっとしたアクセサリー的な要素も感じられる気がします。従来の「銅タイプ」と「銀メッキタイプ」で音質的な差がどれくらいあるのかはよくわかりませんが、オーディオの世界では昔から銀メッキケーブルの方が高級品と言われているので、標準で銀メッキケーブルが付いてくる「新世代Xシリーズ」はちょっとお得なのかもしれません。
ピンがピンボケ気味(-_-;) |
付属ケーブルは高級化されましたが、付属イヤーピースは安定のペラペラタイプです。私は耳に合わないので、いつも通りShure純正フォームタイプイヤーピース改に変更しました。ひとまず、付属の高純度銀メッキアップグレードケーブルにイヤホンをセットします。余談ですが、ZAXの接続部分は通称Cピンと呼ばれているタイプで、Bピンを仕様のZSTXやAS06とは違うタイプです。Bピン仕様のイヤホンにはCピン用のケーブルを改造すると装着できるようですが、Cピン仕様のイヤホンにはBピン用のケーブルは付かないので、リケーブルを購入する時には注意が必要です。
Cピンはこんな感じ |
いつも通り、SHARPのスマートフォンAQUOS R2コンパクトにZAXを接続して音チェックします。音源はAmazonミュージックで、「2020年 上半期 人気急上昇アーティスト」から適当に楽曲をシャッフル再生してみました。第一印象は想像していた以上に、音場が広くて解像度が高い音質です。最近はZSTXを有線接続で聴くことが多かったのですが、ZAXで聴くと今まで聴こえていなかった沢山の音が聴こえてきます。曲の世界に引き込まれるように、思わず音を大きくして聴き入ってしまいました。極端な言い方かもしれませんが、普段聴いている曲が、まるで新たにRemixされた曲なのかと勘違いするくらいの変化を感じます。のっぺりしがちなベースやドラムの低音はある種の立体感を感じます。特に、ドラムのフィルインのような複雑なフレーズの時には、非常に生き生きとした三次元的な音を感じました。このレベルの立体感は個人的には非常に新鮮な体験でした。アコースティックギターやシンバルのような金物は、生々しいほどの金属感を感じます。そして、ボーカルが非常に気持ちよく綺麗に伸びていきます。しっかりと高音域が出ているにも関わらず、高音が耳に刺さってきません。これが両側合計16ドライバーの威力でしょうか。
いつもの音源 アクオスR2コンパクト |
しかし「新世代Xシリーズ」のZSTXで感じたような分厚い低音は感じない気がします。試しにZSTXを繋いで同じ曲を聴いてみたところ、低音域の音圧は確実にZSTXの方があります。ベースやドラムの音が深く、重く響き、それでいて中音域の薄さを感じさせない、とても2,000円台とは思えない厚みのあるサウンドです。一方同じ「新世代Xシリーズ」のZAXは、低音域の音は十分に感じるものの、音が引き締まっていて輪郭がはっきりしています。「新世代Xシリーズ」は新開発のDDが低音域を担っているとのことですが、ZAXとZSTXの低音の質は全く違います。Amazonの販売ページの説明ではドライバーの名前が微妙に違ったので、もしかすると違うドライバーなのかもしれません。もしくは、抵抗などを挟んで音をチューニングしているのかもしれません(こっちの可能性が高い気がします)。
丸いDDを囲むようにBAが配置されている |
そしてZAXはZSTXと比べて全ての音域で明らかに解像度が高いです。今どきの人にはわからないかもしれませんが、カセットテープとCDくらい音質に差があります。決してZSTXの音が悪いわけではないのですが、ZAXとは次元が違うとしか言いようがないです。今回の記事はZAXとZSTXの比較をメインにしようと思ったのですが、この組み合わせの比較は不適当だと思ったので、さらに別のイヤホンでも比較してみることにしました。
ケーブルは香るのだ・・・ |
ドライバー数が多いイヤホンでの比較が良いかなと思ったので、私の手持ちのイヤホンの中ではドライバー数が多いKZ Acoustic社のAS06を選んで、ZSTXの銀メッキアップグレードケーブルをセットしたもので再度チェックしてみます。
銀メッキケーブルとAS06 |
AS06は読んで字のごとく、片側3ドライバー、両側6ドライバーのイヤホンです。「白日(はくじつ)」と言う楽曲で大ブレークしたKing Gnu(キング ヌー)のボーカルの井口理さんが、白日のプロモーションビデオの中で使用して一躍話題になったイヤホンですね。AS06も片側3機のBAを積んでいるだけあって解像度が高い音質です。何気にAS06と銀メッキアップグレードケーブルの組み合わせは初めてです。音の聞こえ方とは不思議なもので、ZAXの後でAS06の音を聴くと低音域を強く感じました。AS06は包み込むような柔らかい低音で、BAらしく中高音域も綺麗な音がします。一方、本日の主役であるZAXはAS06と比べても飛びぬけて解像度が高いと思いました。ZAXもAS06もキメが細かい音質なのは変わりませんが、ZAXはシルクのようなキメの細かい音にも関わらず、音に立体感を感じます。そして音場が広く、その音はどこまでも広がっていくような伸びやかな音です。例えるなら、天気の良い秋の日青空のように、どこまでも続いていく青い世界に吸い込まれていくような音です(謎)。曲にもよるとは思いますが、特にボーカルの伸びやかさ、中高音域の伸びやかさは素晴らしいものがあると思います。解像度が高く、ダイナミクスが広いので、個人的にはドラマチック展開のバラードなどとの相性が非常に良いと思いました。ある意味で一般的なリスニングの用途には最高のイヤホンの一つかもしれないです。
プレートの真の使い道を知りたい |
おわりに
本日はKZ acousticの新作イヤホンZAXを紹介いたしました。ZAXは販売価格帯がミドルクラスイヤホンの価格帯にも関わらず、両耳合わせて16ドライバー、しかもDD+BAのハイブリッドドライバーという超ハイエンドイヤホンのような構造をもったイヤホンでした。そのサウンドは、昔の多ドラKZイヤホンで囁かれていた音の洪水がべったりと耳に張り付くようなものではなく、楽器と楽器、音と音の分離感やメリハリ、空気感すら感じるような、繊細で心地よい響きにチューニングされたものでした。それでいて、モニタリング向けイヤホンのようにフラットな音質で丁寧に音を考察するために作られたイヤホンとは違って、非常にメリハリのある味付けで低音域や超高音域の音も十分に感じられるものでした。ZAXの凄いところは低音域と超高音域のような刺激的な部分が変に歪んだり刺さったりしないようにセッティングされており、不快に感じる場面が非常に少ないところだと思います。購入前には「新世代Xシリーズ」のDDから出力される刺激的な低音域と片耳7つのBAの中高音域が互いに喧嘩してしまわないかが心配でしたが、その心配は全く杞憂で、非常に多くの人に勧められる汎用性の高いイヤホンだと思いました。汎用性が高いのに、平凡ではない音作りを非常に高いレベルで融合させているにも関わらず、この価格帯で販売してきたKZ Acoustic社には素直に拍手を送りたいです。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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