【Fender Ten3 レビュー】IEM音質なのにロックなサウンドでリスニングが楽しめる♪
#白黒にするとかっこいいって聞いた |
はじめに
みなさん、こんにちは。三流心理カウンセラーです。本日はFender社のイヤホン、Ten3をレビューしていこうと思います。Fender社と言えば1946年にレオ・フェンダーが創設したギターメーカーです。世界で初めてソリッドボディーのエレキギターを販売したギターメーカーとして世界的に有名なので、ギターを弾く人なら(弾かない人でも?)知らない人はいないと思います。今回レビューさせていただくのは、そのFender社からプロデュースされているPro IEM(In Ear Monitor)シリーズのTen3です。結論から言えば、Ten3の音質は非常に解像度が高い繊細かつフラットな音質で、スピード感すら感じるレスポンスの良さを持っていました。フラットと矛盾するようですが、聴感上は低音域や高音域、しかも超高音域にしっかりとした主張がありつつ、余計なエフェクト感を感じないタイトな音質です。
いきなり余談ですが、普段から私のTwitter(@bocchi33 フォロー大歓迎です)をご覧になってくださる方の中には既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、私はTen3以外にFender社のイヤホンを2本ほど所有しています。1本は8.5㎜径のチタン製ダイナミックドライバー(以下、DD)を搭載したCXA1、もう1本は9.25㎜径のDDと2機のバランスドアーマチュア(以下、BA)を搭載したNine2です。そして、当ブログで記事にするようなことを書きつつも全然記事にアップロードされないこともご存知かもしれません。
CXA1はシンプルなロックサウンド |
今回レビューするTen3はDDとBAを搭載したいわゆるハイブリッドドライバーイヤホンです。Fender社のハイブリッドドライバー搭載イヤホンは、モデルから仕様がわかるようになっており、モデル名の英語の部分「Ten」=はDDのサイズを表しており、アラビア数字の部分「3」はBAの数を表しています。つまり、Ten3の場合は、10㎜径ダイナミックドライバーと3つのBAを搭載したモデルと言うことになります。ちなみに10㎜のDDで低音域(もちろんそれ以外も出ますが)、3つのBAで中音域、高音域、超高音域を担っているとのことです。
またまた話が逸れますが、Fender社のイヤホンのラインナップは少々お値段がお高めで、Ten3は販売当初はかなり高額なお値段設定だった気がします。しかし、今回、Ten3が廃盤になるらしく、ショップから驚くほど大幅に価格を下げて販売されていたので、思い切って購入してみた次第です。Ten3は、私が持っているイヤホンの中では、ぶっちぎりで高価なイヤホンなのですが、果たして○万円で○〇万円の音がするのでしょうか?本日も最後までお付き合いをよろしくお願いいたします。
今回の動画は音楽にもこだわりました(*´▽`*)♬
使ってみた
まずはいつものようにパッケージから見ていきましょう。イヤホンとは思えないほど非常に高級感がある大きな箱に入っています。お歳暮やお中元でハムが2~3本程度入っていてもおかしくないくらいの大きな箱です。
贈り物にぴったり? |
箱を開けると、くり抜かれたウレタン製の緩衝材に丁寧に固定されたイヤホン本体、イヤホン持ち運び用のハードケース、Fender社のイヤホンにいつも付属している試験管のようなケースに入った熱可塑性エラストマー製のSure sealと呼ばれるイヤーピース(4種類:S、M、M+、L)、ウレタン製のイヤーピース(3種類:S、M、L)、3.5㎜ to 6.3mm用の変換アダプター、飛行機用のプラグアダプター、掃除用のスティック、そしてフォトブックやThanksカードのようなものが入っています。ちなみにウレタン製の緩衝材には木製のプレートがついていますが、KZ社の黒箱についている謎プレートのように取り外すことはできません。
お重箱みたい♬ |
木製の謎プレート(*´▽`*)♡ |
さて、イヤホン本体を見ていきましよう。今回、私が購入した色はフラットブラックです。カラーバリエーションはフラットブラックの他に、Fender社から発売されているエリック・クラプトンモデルのギター(54モデルのストラト)で採用されているピューターと呼ばれる銀色もあります。
経年劣化で変色しているピューターカラー |
フラットブラックは、写真のようにFender社のFマークが銅色です。噂によるとこの銅色が使用していく中で剥げてしまうとのことです(これがFender社の味です(笑))。イヤホンのシェルは3Dプリント・デジタルハイブリッドテクノロジーなるもので作られた樹脂製です。様々な人の耳型のデータを元に開発した独自のアルゴリズムにより、カスタムに近いフィッティングを実現しているとのことです。どちらかと言えば結構大柄なハウジングなので、人によっては耳に合うのかが心配になってしまいます。ちなみに、テネシー州ナッシュビルの「Fender AUDIO DESIGN LAB」で設計&ハンドメイドで生産されているとのことで、Fender社らしく色々な意味でハンドメイド感のある仕上がりになっています。Fender社のギター、特にFender USAのエレキギターを使ったことがある人はご存知だと思いますが、Fender社らしい仕上がりと言うのは、ざっくり言うと「雑」な仕上がりです(笑)Ten3も、お値段からは想像できない味のある仕上がりで、ハウジングの接合部分に接着剤っぽいものが少しはみ出しているような雰囲気を感じる仕上がりになっています。動画ではその部分を少しアップにしていますが、残念ながらあまりうまく映りませんでした。この「Fender社の手造り感」を知らない人は、イヤホンハウジングの仕上がりを見てびっくりする可能性があります。ちなみに、前述したCXA1とNine2は綺麗な仕上がりです。Nine2も一応ナッシュビルでハンドメイドされているのですが(笑)、Nine2は几帳面な方が作っているのかもしれません。
銅色のFマーク |
Ten3のこだわりポイントやスペックをざっと見ていきましょう。搭載されているDDはHDD (HIGH DENSITY DYNAMIC)と名付けられたドライバーユニットで、高密度マグネシウム-チタン合金で作られています。同様にBAはHDBA (HYBRID DYNAMIC BALANCED ARMATURE)と名付けられたFender社独自設計のハウジングに最適化を施したバランスドアーマチュアとのことです。イヤホンのハウジングには、APE (Atmospheric Pressure Equalization)と呼ばれる、ワイドなサウンドステージとディープでタイトな低音を実現するためのポートが設定されており、エアフロー最適化して、振動板の動きをスムーズすることで、Ten3独自のサウンドを生み出しているとのことです。イヤホンの周波数帯域は9~20.000Hz、インピーダンスは33Ω±10%、感度は108dbとのことで、この辺りは詳しい方に譲ります。
奥の方に網が見える |
シェルの中にテクノロジーが詰まっている!? |
さて、音を聴きたい気持ちを抑えつつ(抑えるんかいっ(笑))、装着感を見ていきましょう。私が今まで買ったFender社のイヤホン二機種に関しては、付属のイヤーピースが全然耳に合わなかったのですがTen3はどうでしょうか?まずは、熱可塑性エラストマータイプのSure sealを使ってみます。一番大きいLサイズを着けてみたのですが、全然耳にフィットしません(;^_^A。続いて、ワンサイズ下のMサイズに挑戦します。Mサイズのみ形状違いで二種類(MとM+)入っています。あまり期待していなかったのですが、なんとびっくりこちらはピッタリでした。このSure sealイヤーピースは、今まで使ったFender社のイヤホンでは上手くフィットしなかったのですが、Fender独自の3Dプリント・デジタルハイブリッドテクノロジー・・・やるじゃないですか(*´▽`*)
耳にピタッと吸い付く感じ |
続いて、ウレタンタイプを試してみます。ウレタンタイプもLサイズを使ってみます。こちらはピッタリなのですが、耳からイヤホンが少々飛び出す感じになってしまいました。残念ながらSとMサイズの場合は私の耳にはフィットしませんでした。そして、いつも愛用しているShureの純正ウレタンフォームイヤーピース改は、いつも通りピッタリでした。耳への収まり具合も非常に良い感じです。
ウレタンは少し固め素材感 |
さて、実聴です。使用機材はいつも通りHuaweiのP30Proで、接続はエレコムのDAC内蔵USB-3.5㎜変換ケーブルAD-C35SDBKを使用しました。音源はAmazonプライムミュージックです。まずは、付属のSure sealで試してみます。Sure sealの着け心地は耳に優しい感じで、耳にピタっとくっつくような独特のフィット感があります。普段はウレタン系のイヤーチップを愛用しているので、圧迫感が全くないSure sealは非常に快適な着け心地だと思いました。とりあえず、プレイリストからヨルシカさんの「春泥棒」を再生してみます。
M+だけ他のサイズとは違う独特な形状 |
イントロはバスドラムとアコギから入ってきます。アコギのブラッシング音も非常に自然に聴こえます。背景にやさしく絡むベースの音も、主張し過ぎず心地良い空気感を創ってくれますね。Aメロでは音場の中心、結構近めにボーカルがいてボーカル息遣いやニュアンスも綺麗に耳に届いてきます。Bメロに入るとドラムの定位感がしっかりしていることが確認できます。イヤホンの実力の差がわかりやすいシンバルのような金物の音も、超高音域が耳に刺さるか刺さらないかのぎりぎりの領域まで非常に繊細に響いていています。個人的には0:37あたりの高音の音抜けが非常に気持ち良く感じました。
サビで一気に楽器が増えて、特にギターは沢山鳴りますが、ギターはシンバルのシャリ感に埋もれずに一本一本が聴き取れます。音が密になったパートですが、ベースやドラムもくっきりしていて、更に鍵盤楽器も入ってきて、かなり音数が増えているにも関わらず、そういった状況でも音の分離感が抜群で楽器毎の演奏ニュアンスまで聞き取れる音質です。楽器の数が増えても音を見失わずに追いかけられる再生能力の高さは非常に素晴らしいと思います。Fenderのイヤホンは賛否両論ありますが、ten3は○円で○○円の音がすると言っても良さそうですね。
Ten3はアコースティックな音も得意 |
続いて、私の場合はイヤホンが耳から飛び出し気味になるFender純正ウレタンタイプ(L)を使用してみました。音の出だしから衝撃です。一聴した瞬間に今まで使用してきたイヤホンとは全く別次元の音を感じます(前にどこかで言った気がします(-_-;))。熱可塑性エラストマーのイヤーピースに比べて、低音のメリハリが効いたスピード感のある音質に変化しました。しかし、よくある低音が売りのイヤホンと違って、低音がぼやけた感じがなく、迫力があるのに引き締まった繊細な音がします。確かに販売価格も普段使っているイヤホン達とは、〇万円が〇〇万円と言うくらい桁が違うのですが、それにしても驚きました。耳に届けられる音の表現力のレベルが全然違います。ウレタンイヤーピースとの組み合わせでは、演奏者の出したいニュアンスから、もしかすると出したくなかったニュアンスまで、全てを丸裸にしてしまうような音がします。ギターのハーモニクス音がここまで生々しく綺麗に聞こえるイヤホンは初めてです。Fender Ten3は伊達にPro IEMを名乗っていないと思いました。
Ten3はFenderの音がする |
終わりに
本日はFender社のPro IEM Ten3についてレビューしていきました。Ten3はFender社のイヤホンラインナップの中ではミドルハイクラスに位置づけられるイヤホンで、その音質は低音から高音まで非常に澄み切った抜けの良い乾いた音質で(なのに音場はしっかりと感じられます)、音源の持つ特性をそのまま映し出してくるような非常に解像度が高いイヤホンでした。全体的には自然で広がり感のあるフラットな音質で、音域が非常に広く感じます。しかし、イヤホンのスペック上の周波数帯域は9~20.000Hzで、最近よく見かけるハイレゾ対応イヤホンよりも狭いにも関わらず、Ten3から奏でられる音域は非常に広い印象を受けます。音場が適度に広く、一音一音の細かい部分までも聞き取ることができるような、すっきりと澄み切った音質がそう感じさせるのでしょうか。ミドルハイクラスでこの音なので、ハイエンドのThirteen 6になると、いったいどのような世界を見せて(魅せて)くれるのかが非常に気になるところですが、流石にお財布的にアレなので今は断念したいと思います( ノД`)シクシク…。
実はKZ社のASXとも比較してみたのですが、Ten3とASXを比較すると非常に面白いことがわかりました。Ten3とASXはどちらも高音質で高性能なイヤホンなのですが(解像度は勝負になりませんが・・・)、目指す方向性が全然違うと思うのです(もちろん私が勝手に思っているだけですが)。ASXはいわゆるリスニングを主体にチューニングされたイヤホンで、多くのイヤホンと同様にリバーブで音に艶を持たせたような音がします。こういった味付けは、KZのイヤホンに限らず多くのイヤホンでよくあるチューニング方法だと思います。一方、Ten3はリバーブのようなエフェクト感を少なくして解像度を研ぎ澄ます方向でチューニングしつつも、低音域に迫力を持たせることでモニター的な面とリスニング的な面をFender社独自のバランスで両立させているような気がしました。例えが良くないかもしれませんが、ASXはフルメイクで綺麗な女優さんのような音がします。音源や演奏に多少アラがあっても、イヤホンの持つ女優オーラ(謎)で艶やかに仕上げてくれるような力があります。一方、Ten3はすっぴん、もしくは薄化粧なのに澄み切った美しさ、まるで自然が本来持っている美しさを感じるような、まるで目の前にいるような現実感のある音がします。しかし、それと同時に音源が持ってる以上のものは出してこない、演奏者のちょっとしたアラまで音として伝えてくる厳しさを持った、ごまかしが効かない正直な音を奏でるイヤホンだと思います。
ASXは艶のある音がする |
また、Fender社のストラトを使ったことがある人は共感してくれると思いますが、Ten3は超高音域にFender社独自の味わいがある気がします。新品の弦を張ったストラトをシールド一本でアンプに刺して、アンプのリバーブはoffの状態で、程よいところまでPresenceのつまみを回してセッティングした時にアンプから出力される、ある種の耳に刺さるような、それでいて心地良いようなFender社らしい刺激感がその気にさせるような(謎)今回Ten3を使用して、様々な楽曲を聴いていく中で、個人的にはその超高音域にFenderイズムを感じた気がしました。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
やっぱりFenderだね(*´▽`*) |
コメント
コメントを投稿