【PULA HT100 レビュー】謎の中華イヤホンHT100をゼンハイザー社の名機IE40PROと比較してみました


中華イヤホン,PULA,HT100,レビュー
謎の中華イヤホン


はじめに

 本日はPULAというメーカー(?)からリリースされているイヤホン、HT100について紹介させていただきます。HT100はいわゆる中華イヤホンですが、あまり素性がよくわからないイヤホンです。Googleで情報を探してみるとアリエクスプレスやAmazon、楽天で取り扱いがありますが、ブログ記事などでのレビューはほぼ上がってないようです。Twitterの方でも尋ねてみたのですが、やはり特にこれと言った決定的な情報を見つけることができませんでした。

 Twitterでご意見をくださったFF様には、この場を借りて感謝を申し上げます_(._.)_


 イヤホンセラーの販売ページを見てみると、HT100は弱ドンシャリ傾向の音響特性を持ったイヤホンのようです。ドライバーユニットは10.8㎜で、ポリエーテルケトン(PEK)ポリマーナノコンポジットダイアフラムを採用しています。ダイアフラムの素材と音に関してはあまり詳しくないのでよくわからないのですが、KZ社から2020年に発売された大人気イヤホンZAXもPEKで作られたダイアフラムを使用しているので、PEKと言う素材はダイアフラムによく使われている素材なのかもしれません。


 外観の仕上がりは非常に綺麗です。イヤホンハウジングはA7075航空アルミニウム製とのことです。A7075は超々ジュラルミンとも呼ばれるアルミ合金中最高クラスの強度を持つ材料とのことで、ハウジングの材質はかなり良いものを使用していると言って良さそうです。イヤホンハウジングはCNC4軸精密彫刻によって作り上げられ、その後、イヤーシェルを手作業で研磨&サンドブラスト後(ステム部分は艶あり仕上げです)、アルマイト加工を施しているとのことで、実物の質感は写真のように中々高級感のある仕上がりになっています。

仕上げは綺麗です(*´▽`*)


 肝心の音質ですが、いきなり結論から言ってしまうとHT100のサウンドは「弱ドンシャリ」です。このイヤホンは誤解を恐れずに言うならばゼンハイザー社の名機IE40PROと音場の感じが似ています。価格帯や全体の音作りのバランスは違うため、色々とアレな表現だとは思いますが、詳しくはこれからお話していこうと思います。本日も最後までよろしくお願いいたします。




使ってみた

 まずはパッケージから見ていきましょう。パッケージングは写真のようにシンプルです。箱を開けると、イヤホンケースの中にイヤホン本体、ケーブル、イヤーピース3種類(S、M、L)などが全て入っています。イヤホン本体とケーブルは最初から接続されており、イヤーピースもMサイズが装着されているため、開封したらすぐに音源につなぐことができます。


シンプルなパッケージ


 前述した通り、イヤホンハウジングの仕上げは非常に綺麗で高級感があります。色はシルバーと黒があります。イヤホンの造形は人間工学に基づいて作られているとのことで、自然に耳に収まる形状に仕上げられており、イヤホンの装着感も良好です。イヤーピースを装着するステム部分がかなり太く、私の手持ちイヤホンの中では一番太い仕様です。そのような特徴的な仕様なので、イヤーピースの種類によっては少々装着し辛いかもしれません(とは言っても、一般的なサイズのSonyのハイブリッドイヤーピースくらいんなら装着できます)。


極太ステムは音にも影響しそうですね。

 ケーブルは銀メッキされたOFC銅で、0.08㎜の銅線を196本使って作られているとのことです。HT100の付属ケーブルは、中華イヤホンの付属ケーブルにありがちな硬いケーブルではなく、とてもしなやかなので装着感がよいのはポイントが高い部分です。プラグ部分の仕上げは写真のような感じで、金メッキが施されたストレートタイプのプラグです。


ケーブルの質感は悪くないです♪

上が社外品(JSHiFi製)。下が純正。


 付属のイヤーピースは薄目ですがHT100との相性は良い感じです。何故か付属のイヤーピースが使い辛い中華イヤホンが多いので、付属品が使いやすいと言うのは助かります(笑)。ある意味ポイントが高いのが付属ケースで、結構大き目の仕様なので様々なイヤホンやリケーブル、イヤーピース等を持ち歩く方は嬉しいと思います。特に最近流行の極太リケーブルを持ち運ぶ場合でも収納には困らないと思います。


大き目サイズで極太リケーブルにも対応できる!!

 では、音質をチェックしていきましょう。使用機材はいつも通りHuaweiのP30Proで、接続はエレコムのDAC内蔵USB-3.5㎜変換ケーブルAD-C35SDBKを使用しました。音源はAmazonプライムミュージックです。楽曲はYOASOBIさんの「怪物」を選んでみました。実はこのイヤホン、結構困りました(謎)最初は持ち味の出し方が全然わからなかったのです。使い始めはHT100の重めのハウジングを支えるためにShureウレタンフォームイヤーピース改を使っていたのですが、なんだか音がしっくりこなかったのです。そこで、HT100に付属しているイヤーピースのMサイズを耳の奥の方で固定してみたところ、いきなり音が変わりました。HT100は耳の奥の方で聴いた方が持ち味が出せるとイヤホンだったようです。今日は同じような条件で、ゼンハイザー社のIE40PROと適宜比較しながら聴いていきましょう。

耳の奥で固定した方がいい音がしました♪


 ikuraさんのエフェクトがかかった歌いだしで楽曲が始まります。曲のスタートは打ち込み系のバスドラと激しく歪んだエフェクトのかかったベースのような何かが鳴っています。HT100もIE40PROは両者ともにしっかりとした存在感のある低音をタイトに鳴らします。その後、パカポコしたギターのカッティングのような音が鳴り始めます。このパカポコサウンドのパートはHT100とIE40PROで比べると結構違いがあります。HT100に比べてIE40PROは非常に豊かな響きを感じます。一方HT100はそのあたりの響きが弱いものの、音場はHT100とIE40PROどちらもタイトなセッティングで、楽曲の持ち味をストレートに引き出すところが似ています。0:30あたりからギターとキーボードのコードが曲に広がりを与えて、0:38あたりからサビに入っていきます。サビではボーカルから強いエフェクトが外れて伴奏全般が一気にクリアになります。このパートでHT100の場合は、低音域と高音域が結構刺激的に響きます。特に高音域のシャリ感が強く、シャリ感がキーボードの上に重なるような鳴り方で、リズムやビートが前に出てくるようなスピード感がある音作りになっています。一方、IE40PROは中音域のキーボードがしっかりと鳴るため楽曲のコード感が前に出てきて、かつボーカルのフィーリングなどが豊かに鳴り響く音作りです。


今更ながら非常に良い音がしますね(*´▽`*)♬


 ここで少し遊んでみましょう。Amazonプライムミュージックの右上にある「三」のアイコンをタップして、イコライザーを開いて写真のような感じにしてみます。なんとびっくり、いやびっくりではありませんがHT100がIE40PROに少し近い音になります。かなり適当にいじったので、もう少し丁寧にイコライジングをすればもっと近い音作りになると思います。音の解像度的には少々値段の差があるのでアレかもしれませんが、冒頭でお話ししたHT100とIE40PROが似ていると言ったのはこういうところです。両者ともに変に音場を拡げて、定位感を強調するようなイヤホンではなく、ストレートに音を出してくるあたりが似ていると思います。中華イヤホンは音場の作り方が面白いイヤホンが多い中、HT100のようなストレートな音場のイヤホンは新鮮な気がしました。このようなイヤホンなので、私が音質チェックでよく使う「ありがとう」(Originally Performed byいきものがかり 演奏:林そよか)のようなピアノ楽曲との相性も非常に良いです。むしろ高音域の抜けに関してはHT100の方が、IE40PROよりもしっかりと出るので、HT100の方がすっきりとして好みの音だと感じる人もいるかと思います。一方、IE40PROは楽曲全般を通してマイルドで繊細に中音域を奏でるため、楽曲がゆったりと聴こえます。音作りによって楽曲のスピード感が違って聴こえるというのが面白いなと思いました。

230Hzあたりがポイントかも。


終わりに

 本日はPULA HT100についてレビューしていきました。HT100は最近の中華イヤホンとしては珍しく、音場の味付けが少なくて、楽曲をストレートに聴かせてくれるイヤホンでした。イヤホンハウジングの素材となる金属に高価なA7075は超々ジュラルミンが採用されており、サンドブラストでサラッと仕上げれた筐体がアルマイト加工されているため、全体的に高級感を感じる出来栄えだと思います。見た目だけで言えば、IE40PROよりも、HT100の方が高級感があるのは間違いないと思います。

リケーブルは結構おススメできると思う。

 実はその後、ケーブルをJSHiFiから販売されている超コスパケーブルである「Hi8」に交換して使ってみました。付属ケーブルも悪くないのですが、Hi8を使うと高音域の角が取れて、低音域から中音域が豊かになる傾向があり、中華イヤホンに多い高音域のとがりをまろやかにしてくれます

今回は超コスパのJSHiFi製ケーブルを使用

 Hi8にリケーブルして、イコライジングをすると、よりIE40PROに似た音になります。少し話が逸れてしまいますが、私が以前にレビューしたDQ6やASX、ZAXとも相性が非常に良いケーブルなので、これらのイヤホンの味付けを変えてみたい方は一度試してみると良いかもしれません。そんなわけで、本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

まだまだ知らないイヤホンがありますね(*´▽`*)

追記:パッケージをよく見ると作っているメーカーが記載されていました。一見、格安イヤホンのオーム電機製のようにも見えますが、住所は中国・・・別のメーカーなのでしょうか?何か情報をお持ちの方がいらっしゃれば教えてください_(._.)_


コメント

人気の投稿