【Shure SE215SE レビュー その2】発売以来8年間売れ続ける色褪せないレジェンドイヤホンをリケーブルして試聴してみた!!

真のベストセラーSE215SE

 

はじめに

 来週になると、いよいよ12月になりますね。新型ウイルス感染症に悩まされた2020年でしたが、気が付けば今年もあと一か月程度になってしまいました。気持ち的に落ち着かない一年間だったため、色々できなかったことがある気がしますが、残された一か月間を有意義に過ごしたいと思っています。


 本日は日本での発売開始後丸8年を迎えるShure SE215SEのリケーブルについてレビューをしていきたいと思います。Shure SE215SEはオーディオファンの間では今更説明の必要がないほどの名機です。以前の記事では、Shure SE215SEのお得な買い方と名機Shure SE215SE使用感について紹介させていただきました。今回の記事では純正ケーブルRMCE-UNI、純正Bluetooth RMCE-BT2、サードパーティ製の低価格なBluetoothケーブルの使用感などについてレビューしていこうと思っております。

ダイナミックドライバー1発!!


 Shure SE215SEはノーマルモデルのSE215に比べると、ほんのわずかに音にメリハリをつけるチューニングが施されたモデルです。難しことはわからないのですが(汗)、内部のパーツを微調整することで、音の特性を変えているとのことで、ドライバー自体は全く同じものを使用しているとのことです。イヤホンから音が出るまでの経路をものすごく簡単にまとめると、①音源 → ②ケーブル → ③イヤホンとなるわけですが、①~③の部分にわずかでも変更を加えると音が変わる可能性があります。SE215SEでは③の部分にShure社自身が変更を加えて音に味付けを行っているということになりますね。本日の企画では、主に②の部分自体を変更することで、音の変化を味わってみようと言うものです。イヤホンのリケーブルに関しては古今東西様々な噂が飛び交っています。さてさて、どのような結果になるのか・・・本日も最後までお付き合いいただければと思います。


使ってみた

 さて、最初はShure純正ケーブルを試してみたいと思います。Shure純正ケーブルには何種類かのモデルがありますが、今回は使い勝手が良いリモコン付きモデルであるRMCE-UNIを試していきたいと思います。 今回もいつものようにSHARPのAQUOS R2コンパクトにダウンロードしたAmazonプライムミュージックを音源にします。使用楽曲はAmazonプライムミュージックから、少し今更感があるかもしれませんがヨルシカさんの「盗作」を選びました。しかし、今回はいつもと違ってケーブルと音源の接続にはエレコムのAD-C35SDBKを使いました。エレコムのAD-C35SDBKは、日本オーディオ協会のハイレゾ定義に準拠した、PCM最大96kHz/24bit対応の高音質なDAC(デジタル アナログ コンバーター)内蔵ケーブルです。いつもは有線イヤホンの場合はR2コンパクトの3.5㎜端子に接続しているのですが、今回はこのエレコムのAD-C35SDBKケーブルをR2コンパクトのUSBタイプCに接続しています。余談ですが、エレコムのAD-C35SDBKケーブルを私のカメラ用スマホであるHuaweiP30ProとSHARPのAQUOS R2コンパクトに刺して比べてみると、音はHuaweiの方が広がりのある音がします、と言うか個人的には良い音がする気がしました(笑)  


思いの他良い音がしたエレコムAD-C35SDBK


 まずはShure純正ケーブルでヨルシカさんの「盗作」を試聴してみます。SE215SEは非常に素直な音質で、過剰な演出がないイヤホンですが、イントロのドラムの音に胴鳴りのような空気感を感じます。ボーカル、キーボード、ベース、ギターと楽器が増えてきてもまとまりの良い自然なサウンドが感じられます。サビで追加されるイヤホンによっては聴こえづらいアコースティックギターの音も埋もれ過ぎず綺麗に聴こえます。SE215SEは楽曲の中で増えてくる楽器の音を適切にキャッチできるポテンシャルがあります。音自体の艶は控えめで、音自体の姿形がそのまま耳に入ってくる印象を受けますが、刺激や生々しさがない滑らかなタイプのサウンドです。高音域の艶やかさが控え目で、刺激の少ない滑らかな感じがSE215SEのレビューでよく言われる薄くベールがかかった音とも言えるかもしれません。SE215SEはノーマルモデルと違い、楽曲のモニターよりも少しリスニングに側に振ってあるイヤホンですが、楽器一つ一つの音をしっかりとキャッチするので、やはり基本的な設計はイヤホン型モニターなのだなと感じます。

Shure純正ケーブル


 当ブログでよくレビューしているKZイヤホンのZAXのような、ドラマチックな音を奏でるイヤホンの音を聴き慣れている人だと、SE215SEは一瞬拍子抜けするようなあっさりとした音に聴こえるとかもしれません。しかし、SE215SEはあっさりした音にも関わらず鳴っている音を過不足無く耳に届けてくれるイヤホンだと思います。ちょっと面白いのが、SE215SEは音量によって結構印象が変わります。ボリュームを少し上げ気味にすると、メリハリがあるリスニング向けの音作りであることが感じられて、ボリューム絞っていくとかなり小さい音量にしても、音楽として破綻しないバランスを保って鳴ってくれます。実はこれって結構凄いことなのではないでしょうか?Shureのウレタンフォームイヤーピースや、耳にピッタリとフィットするイヤホンシェルの造形のおかげでイヤホンの遮音性が高いことが一つの要因だと思います。

リモコン部分にはandroidとiPhone用の切り替えスイッチがある

リモコンはシンプルで高級感はない


 続いて、Shure純正BluetoothケーブルRMCE-BT2に付け替えて試聴してみます。RMCE-BT2はBluetoothのコーデックがQualcomm aptX , aptX HD, aptX Low Latency, AAC, SBCに対応しています。かなり多くのコーデックに対応しているので非常に汎用性が高いかと思います。

RMCE-BT2はコンパクトにまとまっている


 お値段は諭吉1枚分くらいですが、それだけの価値があるBluetoothケーブルだと思います。こちらもヨルシカさんの「盗作」で音質のチェックをしていきましょう。楽曲が始まって早々に、音の雰囲気がかなり変わったと感じました。有線接続時はベールがかかったような音でしたが、音に艶と煌びやかさ、立体感がプラスされたような印象に変化しました。二次元から三次元になったような立体感のある音になって、かなりリスニング向けの音質に変化したと思います。ShureのBT2には写真のようなバッテリー兼アンプが付いていて、このアンプ部分が非常に良い仕事をしてくれているのだと思います。

アンプのロゴがカッコいい

アンプにはクリップがついている(逆さまに装着(笑))

 変な話ですが、有線よりも音が良いと感じる人がいると思います。いや、むしろこっちの方が好きな人が多いのではないでしょうか。BT2も純正ケーブルと同様に、音量を絞った際の聞こえ方が自然で小さな音量でもリスニングが楽しめる性能を持っていました。そして、BT2はBluetoothによくあるホワイトノイズがほとんどありません。もうはっきりと言ってしまうと、純正ケーブルよりも良い音がすると思いました。

リモコンはシンプルで使いやすい

 最後はサードパーティ製のBluetoothケーブルです。今回はいわゆる中華イヤホンを販売しているOKCSCさんからDX6と言うMMCX接続のBluetooth 5.0対応のリケーブルを提供していただきました。

パッケージは普通に悪くない


 実はOKCSCさんの販売製品は、かの有名なサクラチェッカーで高得点を叩きだす傾向が高いので少々ドキドキしています。サクラチェッカーについて、ご存知ない方のために説明すると、サクラチェッカーとはAmazonで販売されている製品を6つ評価項目からチェックしてサクラレビューの有無について調べるサイトです。6つの項目は①価格・製品②ショップ情報&地域③ショップレビュー④レビュー分布⑤レビュー日付⑥レビュー&レビュアで、OKCSCさんの扱う製品は①価格・製品②ショップ情報・地域の2つの項目でコンスタントに危険の評価を受けています。しかし、その他の項目では特に問題は指摘されていないようですが、今回、私は製品提供を受けているという意味ではサクラと言っていいのかもしれません(;^_^Aしかし、製品レビューに関してはいつも通りに思ったことをそのまま記事にさせていただきます。ちなみにOKCSCの担当者の方ともメールで以下のようなやり取りをして、思った通りにレビューして大丈夫かを確認をしました(以下、原文ママ)。


私:ブログ記事の投稿ルールはありますか?当方の記事では良かった点も気になった点も両方レビューしますが、問題はないでしょうか?

OKCSC:はい、問題がありません。


 OKCSCさんからは非常にあっさりした返答でした(笑)そういうわけで遠慮なく行きます。外観は写真のような感じです。艶消しの黒を基調としたネックバンドタイプのBluetoothケーブルで、右側にリモコンのボタンが付いています。このボタンで一通りの操作ができます。イヤホンを接続するMMCXの端子部分は写真のような仕上げで、ケーブルは編み込みタイプになっていますが少々細くて耐久性にはいささか不安を感じます。もちろん長期的に使用していないので正確なところはわかりません。ちなみにBluetoothをペアリングすると接続名は非常に潔く「BT」です。Amazonの販売ページにも、スマホのインフォメーション欄にも対応コーデックが特に明記されていないので、接続はBluetooth5.0のSBCなのでしょうか?

ネックバンドタイプ

リモコンもシンプル

端子部分のスリーブは断線しにくいようになっている



 接続音は中華イヤホンの伝統なのか、かなり大きめの効果音がします。この辺りは是非とも改善して欲しいものです。そして、SE215SEをShureがけしようとしたところ、何とケーブルが短すぎてShureがけできません(汗)OKCSCさんに確認したところ仕様とのことです。販売ページにSE215などSEシリーズに対応と書かれていますが、Shureがけには非対応のようです。音を聞く前からなんだか心配になってきました。

普通のShureがけはこうなる

DX6はShureがけ非対応


 気を取り直して今回のリファレンスである、ヨルシカさんの「盗作」を聴いてみましょう。いや、ちょっと、いやかなり衝撃です。音は全然問題なく良い音がします。Shure BT2よりも気持ちドンシャリ傾向で元気の良い音で、非常にリスニングが楽しめる音質だと思います。細かい音質や解像度を気にするマニアの人はわかりませんが、ブランドにこだわらない人はさほど問題を感じないレベルの音質だと思います。販売価格を考えると結構あり得ない出来です。このブログで音質チェックに使うことが多い、「ありがとう」のようなピアノ楽曲でもチェックしましたが、音の広がり感は流石にBT2に劣りますが正直悪くないです。値段が全然違うので色々注文をつけるのはアレなのかもしれませんが、楽曲の再生性能や音質自体は悪くないので、接続音の大きさや、ケーブルの太さを断線しにくい安心できる太さにして、ケーブルの長さはShureがけ対応にしていただけると非常に良い製品になると思いました。

STREET SOUL!?



おわりに

 今回は、11月28日に日本国内での発売開始8周年を迎える、アメリカはShure社の名機SE215SEをリケーブルして音質をチェックしてみました。SE215SEはShure社のエントリーモデルにも関わらず、アコースティックギターの弦が擦れる音や、スネアドラムのスナッピーが震える音をそれなりに耳に伝えてくれるような解像度の高さがあり、音の定位もしっかりしていて、音場は広くも狭くもないという味付けで、非常にオールマイティに楽しめるイヤホンであることが再確認できました。高音域はしっかりと鳴っているものの、伸びやかさは控えめで、中音域は特にボーカルをはっきりとフューチャーしてくれる味付けになっています。音質的には高音域が変に耳に刺さるような感じはなく、中音域は安定しており、低音域はぼやけるところがない上質な低音が楽しめますが、いわゆる重低音を楽しむようなイヤホンではありません。

色褪せないレジェンドイヤホン


 癖が無いのに高音質、つまり、イヤホン自体が持つポテンシャルが高いと言うことなのかなと思います。そのため、リケーブルによって楽しめる幅が広いのかもしれません。今回は純正Bluetoothケーブルとサードパーティ製のリケーブルを試しました。どちらも良いBluetoothケーブルだったのですが、特に純正BluetoothケーブルはBluetooth化によって音質に劣化どころか、むしろ進化を感じるレベルの音質でした。今年になってShure社から、完全ワイヤレスタイプのBluetoothであるRMCE-TW1が発売されました。更なる高音質化や外音取り込み機能なども搭載されているとのことで、機会があれば試してみたいと思っています。また、今回OKCSCさんより提供していただいたDX6は予想外に楽しめるBluetoothケーブルで、中華イヤホンのレベルアップの速さに驚かされました。サードパーティ製の有線ケーブルは試すことができなかったので機会があれば試してみたいと思います。イヤホンで音楽を楽しんでいると、ノリが良いロックやEBMなどは、つい大音量で聴いてしまいがちですが、イヤホンを使った長時間のリスニングは耳を傷める危険性があるので音量には注意したいものです。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。



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