【KZ Acoustics DQ6 レビュー】2020年最強!?予想をはるかに超えてきた高音質・高コスパなリスニング向けイヤホン

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予想をはるかに超えてきた



はじめに

 2020年もいよいよ終わりですね。今年は例の感染症が流行したため、マスク、手洗い、うがい等、日常生活で気を付けることが多くて大変だったと思います。更に三密を避けなければならなかったため、外食や外出も自粛せざるを得ない状況であったり、テレワークやオンライン授業、夫が家にいる時間が長過ぎる(謎)等、本当に様々なストレスがあっと思います。そのような中でも、何とか今年一年のゴールがすぐそこに見えてきました。2021年もこの状況は続きそうですが、この大変な状況を何とか乗り越えて、数年後に2020年は大変だったねと笑顔で振り返ることができたらいいなぁと思っています。

 2020年最後はKZ Acousticss社のイヤホンで締めくくりたいと思います。最近のKZ Acoustics社は一機のイヤホンに複数のドライバーを搭載した、いわゆる多ドラのイヤホンを連続でリリースしています。今までのKZ Acoustics社の多ドライヤホンは、音の洪水のような感じで賛否両論があったようですが、今年発売された新世代XシリーズことZSTXZAXASXに関してはどれも非常に評判が良く、一般ユーザーの方(謎)にも自信を持っておススメできるレベルの製品だったと思います(その他の新世代Xシリーズも好評のようです)。当方のブログでも新世代Xシリーズの超人気イヤホンであるZAXの記事は、常にブログ閲覧者数順位で1位と2位を争うほどの人気記事になっており、多くの方がZAXに関心を持っていることがわかります。ちなみに1位と2位を争っているのはAmazonの超ハイコストパフォーマンスタブレットであるFire HD8の記事です(*´▽`*)イヤホンチャウヤン。

ZAXのライバル(笑)


 そんなわけで本日はKZ Acoustics社のDQ6についてご紹介させていただきます。DQ6はイヤホンの両側に合計6つ、すなわち片側に3つのダイナミックドライバー(以下、DD)を搭載した多ドライヤホンです。前述したZAX(16ドラ)やASX(20ドラ)に比べるとインパクトが無い製品のせいか、現時点(2020年12月31日)ではTwitterやブログでのレビューも少ないです。恐らく多くのオーディオオタクファンの方は「多ドラBA機」か「ドライバーの材質やチューニングに力を入れたシングルDD機」の方に興味を惹かれるような気がしています(完全に個人の感想です)。


久しぶりに新しい動画をアップしました(*´▽`*)🍀✨

 Amazonの販売ページを見ると、「DQ6、KZの新しい、そしてもう一つの傑作」と書かれています。非常に自信溢れる意味深なキャッチフレーズです。「新しいレベルのHIFIプロフェッショナルヘッドセットテクノロジーベンチマーク」とまで書かれています。ベンチマーク=評価基準や目標となる製品的なニュアンスでしょうか。わかるような、わからないような感じですが凄そうです。そして、結論から先に言ってしまうと、DQ6は完璧にノーマークだったにも関わらず、ZAXに匹敵するハイレベルなイヤホンでした。いつも通り変わり映えのしない拙い記事ですが、本日も最後までお付き合いをよろしくお願いいたします。

YouTubeに飛べます → 三流心理カウンセラーのへっぽこレビュー YouTubeもあります(*´▽`*)



 


 使ってみた

 まずはパッケージから見ていきましょう。箱はKZ Acoustics社のエントリーモデルに多い白箱です。黒箱のような高級感はありませんが、すっきりとしたデザインですね。箱を開けてみると、このような感じでイヤホンのフェイスプレートの仕上げが良いため意外と高級感を感じるかもしれません。しかし、残念ながら黒箱に付属している謎プレートは付属していません。いや、ほとんどの人にとってそんなに残念でもないでしょうか。あのプレートの使用方法が未だにわからないので、正しい使い方をご存知の方は是非教えてください。

エントリーモデルの白箱


高級ラインの黒箱


 付属品はイヤホンと編み込み式の銀メッキケーブル、イヤーピース、保証書のような紙が二枚です。なんと、イヤーピースは4つのサイズが付属しています(Mサイズはイヤホンに装着されていました)。イヤーピースの色は白色で、ASXの時に付属していたかなり薄いタイプです。そして、ケーブルの匂いは・・・ばっちり臭いです。やはり消毒系の香りがします。KZファンの期待を裏切らない仕様の薫り高いケーブルですが、今までの経験上、残念ながら数日間使用すると匂いは消えますので安心して良いと思います。

イヤーピースのは4種類

相場では2000円以上の銀メッキケーブル


 イヤホン本体の外観を見ていきましょう。フェイスプレートは艶消しの亜鉛合金製で滑らかな質感で高級感があると思います。

亜鉛合金製のフェイスプレート

 3機のDDを包み込むシェルは樹脂製です。カラーバリエーションは二色あり、今回のレビューで使用しているのはフェイスプレートがシルバーでシェルは透明の物です。色違いでフェイスプレートがグレーで、シェルがスモークタイプの製品もあります。シェルの形状はASXASFのような耳にフィットする特殊形状で、通勤通学のような移動中でもズレにくく安定感があります。私の耳の場合は非常に良い感じでフィットしていますが、この形状は個人差や好みがあると思います。


シェル右部分が耳にフィットするかどうかが鍵になる


 シェルの部分は3つのDDを搭載しているので少し大きめですが、フェイスプレート部分はコンパクトな造形で装着してみるとあまり大きさを感じないと思います。片側にBA(バランスドアーマチュア)10機を搭載したASXはフェイスプレートも大きかったので、装着時に少し重さを感じましたが、DQ6はそれに比べると軽量なので装着感や見た目の雰囲気はかなり違うと思います。余談ですが、DQ6のフェイスプレートからシェルにかけての造形は流線形で非常に凝った造形になっており、イヤホンの装着時やイヤーピースの交換時に指先への収まり感がとても良く、イヤホンの取り回しにまで気を使っているように感じられました。


伝わりにくいかもしれないが独特な形状


 透明のイヤホンシェルを覗くと三つのDDが見えます。シェルの中にあるボタン電池のようなものがDDです。金色のDDが新世代Xシリーズでも使われていた10㎜デュアル磁気ダイナミックユニットで、ぱっと見た感じはZAXと同じものに見えます。


金色の10㎜DD


 そして、金色のDDよりも二回りほど小さい二つの銀色のDDが6㎜シングル磁気ダイナミックユニットです。10㎜のDDで低中音域を再生して、二つの6㎜DDで10㎜以上のシングルDDが苦手とする中高音域を再生できるようにデザインされているのだと思います。他のメーカーでも2DDのイヤホンは意外とあるのですが、3DDのイヤホンはあまり存在しないようです。BAに比べて、DDはドライバー本体が大きいため、イヤホンの小さな筐体の中にドライバーを収め、かつ適切な音量バランスで再生することが難しいからだと思います。実際に他のメーカーから発売されている3DDイヤホンを検索したところ、高級イヤホンメーカーのqdc社の製品がヒットしましたが、値段は17万円程度~でした(汗)。DQ6とは桁が違い過ぎますね。そのようなチューニングに手間暇がかかる3DDイヤホンをこのような低コストで発売してしまうKZ Acoustics社の技術力と生産力には脱帽です。


二つ並んだ銀色の6㎜DD

 イヤホンの説明が長くなり過ぎてしまったので、そろそろ実聴に入っていきましょう。ケーブルは純正の銀メッキケーブルを使用します。イヤーピースはASXの時に相性が良かったスパイラルドットを使ってみたのですが、ASXではフィット感が抜群だったにも関わらず、似たような形状のDQ6ではフィット感がいまいちだったため、いつものShure純正ウレタンイヤーピース改を使用しました。今回は音源をYouTube、そして、音源を再生する機材は私が愛用するASUSのノートPC Zen Book UX433FAにしました。普段はスマートフォンを使用してAmazonプライムミュージックの音源の聞き込みを行うのですが、今回は年末で自宅にいるため、試しにノートPCを使ってみたところ思った以上に音が良かったので再生機にUX433FAを使用してみた次第です。曲は今年の当ブログで一番人気のZAXの記事で使用したヨルシカさんの「ノーチラス」を使用し、DQ6とZAXを適宜比較していこうと思います。みなさんもヨルシカさんの「ノーチラス」を聴きながら記事を読んでいただければより楽しめると思います。

PCで聴いていきます(*´▽`*)

 YouTubeの「ノーチラス」はAmazonプライムミュージックと違って、イントロの前に海の波の音が入ります。これは後でイヤホンをチェンジしてみた時にわかったのですが、この波の音の再生音がイヤホンの種類や外付けDACの有無(今回はDACのことは触れていません)で全然違う音になります。波の音の後にヨルシカのヴォーカリストであるsuisさんの歌声が入ります。DQ6はZAXに比べると少しリバーブ感が強めで、ヴォーカルに艶と深みを感じます。ピアノの音は優しく艶やかで、ドラムのシンバルの音はやわらかな金属感を感じます。DQ6の音は、よくあるシングルDDモデルと違い、金属感の中に立体感を感じる鳴りがあります。この辺りが3DDの威力なのでしょうか。高音はしっかりと出ていますが耳に刺さる感じはありません。


 Bメロでsuisさんの「喉が渇くとか~」の歌声と同時に一気に楽器が入ってきますが、音が団子にならずにしっかりと分離感を持って聴こえます。このパートは分離感こそZAXと似ていますが、曲調はかなり違って聴こえます。ZAXは低音をタイトにして音と音との空間をしっかり確保することで音場を作り出していますが、DQ6はZAXよりも低音域の深みがはるかにしっかりしています。同じ10㎜デュアル磁気ダイナミックユニットとは思えない音です(同じじゃなかったらアレですが(笑))。


 1コーラス目が終わると、煌びやかなアコースティックギターのアルペジオが流れます。DQ6はアコースティックギターのスチール弦から放たれる煌びやかな音に適度な優しい深みがあります。ZAXの方がスチール弦の生々しさと煌びやかさは上ですが、低音弦の深みに違いがあります。そして、ドラムのフィルインから2コーラス目に突入します。このフィルインの感じが非常に素晴らしく、DQ6はZAX同様に音場が広く、非常に生き生きとした空間の中でドラムの響きを感じます。スネアドラムのスナッピーが震える音やタムの胴が響く感じもしっかりと耳に届けてくれます。DQ6とZAXは販売価格帯こそ違いますが、ZAXよりもDQ6の方が好みの人が結構出てくると思いました。

アコギの音が綺麗(ローズウッドっぽい)。

終わりに

 本日はKZ Acoustics社から2020年の12月頃(曖昧)に発売されたDQ6について紹介させていただきました。多くのオーディオオタクファンが、「へぇ~」と思いつつ様子を見ていたと思われるDQ6は、予想をはるかに超える素晴らしい仕上がりのイヤホンでした。DDイヤホンにも関わらず、いわゆる重低音にこだわらず、バランスの良いリスニングイヤホンを目指したのではないかと思われるその仕上がりは全く予想外でした。

写真のようにイヤホンを置いて


 今回特に驚いたのはDQ6の完成度の高さです。価格帯を考えるとDQ6のライバルは同じ白箱組のZSTXやZSN Pro Xあたりになるのかと思います。しかし、DQ6を聴きこんでみて自然に比較してしまったのは、明らかに1ランク2ランク上に位置するZAXやASXでした。ASXはさすがに全ての音域において、圧倒的に解像度が高い別物の音質ですが、音場の広さで言えばASXよりもZAXやDQ6の方が広く設定されているように感じるのが面白いところです。


Rの刻印がある方を右に刺そう♪

 本日の主役であるDQ6の低音域の方向性はZAXよりも明らかにASXの方に近く、豊かな低音域でかつ、DDのみの構成でありながらブーミーな感じが全くない絶妙な仕上がりでした。高音域に関してもDQ6は十分に美しい響きを持っていますが、高音域の透明感やアコースティックギターやシンバルの金属的な響きではZAXに及びませんでした。ある意味でDQ6の音はZAXとASXを足して2で割ったような音なのかもしれません。しかしながら、正直値段を考えるとDQ6は予想のはるか上を超えた完成度の素晴らしいイヤホンでした。


DQ6の比較対象はこのクラスだと思う


 あえて気になる点を指摘するとすれば、DQ6はシェルの形状が独特なので耳に合わない人が出てしまう可能性は捨てきれないと思います。また、幸運にも付属のイヤーピースが耳に合う人以外は、ピッタリと耳にフィットするイヤーピースを探す必要があると思います。イヤーピースが耳に合うか否かで、イヤホンの音は非常に大きく変わってしまいます。あくまで音は好みなのですが、私はイヤホンのテストする時に、無音状態でイヤホンを耳に装着して、耳の傍で親指と人差し指を擦ります。この時に、指と指が擦れる音が大きいようであれば、イヤーピースのフィット感が甘いか、イヤホン自体の遮音性が低い可能性があります(フィットするイヤーピースに関してはこちらの記事をご覧ください)。

 DQ6は指と指がこすれる音が少し聞こえるため、リスニング時の音量が大きいと音漏れがしやすいかもしれません。もちろん、電車やバスのような騒音の大きな場所では気にするほどの音漏れはないと思いますが、図書館や自習室のような静かな環境では一度イヤホンを耳から外して音漏れをチェックするのが、正しいオーディオオタクファンの嗜みなのかもしれません。2020年に7月15日始まった当ブログも、何とか2020年を超すことができました。これも応援してくださった皆様のおかげだと思います。この場をお借りして心より感謝を申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。


2021年もよろしくお願いいたします。




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