【KBEAR KS1 レビュー】低音域の支配者を名乗る低価格イヤホン KS1とKZの隠れた名機EDXを比較しました

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シングルドライバーは深い(*´▽`*)


はじめに

 みなさん、こんにちは。三流心理カウンセラーです(*´▽`*)。本日はKBEAR社 から発売されたイヤホンKS1についてレビューさせていただきます。KS1は以前にご紹介したイヤホンLARKを販売しているKBEAR社から新しく発売されたエントリー価格帯のイヤホンです。KS1の音について、結論から先に申し上げると、KS1は「迫力ある低音域が特徴的で高音域のシャリつきが気にならない迫力があるドンシャリ系のサウンド」でした。




 KS1はイヤホンの心臓部、音を奏でるドライバーに10㎜の二重磁気回路ダイナミックドライバー(以下ダイナミックドライバーはDD)をイヤホン片側につき1機搭載しています。いわゆる中華イヤホンは複数のドライバーを搭載している通称多ドライヤホンが多いですが、KS1は潔くダイナミックドライバー一機のみを搭載しています。低音域から高音域までを一つのドライバーで担う必要があるため、オーディオファンの間ではシングルダイナミックドライバー機こそ、そのメーカーの力がわかると言われることもあるようです。


イヤーピースの変化もわかりやす♬


 多くの場合、シングルドライバーイヤホンの方が安価な傾向にあります。例えば、以前にレビューしたKZ社のEDXは、Amazonでも1000円前後の価格設定だったと思います。今回レビューするKS1はAmazonで2000円以下(現在3/12(金)現在、500円引きクーポンが配布されていてお買い得価格になっているようです)です。KS1とEDX、どちらのイヤホンも、いわゆる普通の人が買うイヤホンとしては買いやすい価格設定ではないでしょうか?いや、オーディオファン以外の普通の人(日本人の場合)は中華イヤホンの良さを知らないので、購入候補にあがるかどうかが怪しいかもしれませんね。ちなみに、一般的にはシングルドライバーのイヤホンはバランスド・アーマチュア(以下BA)搭載機よりもDD搭載機の方が安価な傾向がありますが、アメリカのShure社やドイツのゼンハイザー社のように、エントリーモデルのシングルドライバーイヤホンが1万円程度のメーカーもあります。


Shure SE215SEもエントリークラス


 今回はKBEAR 社のKS1とKZ社のEDXを適宜聴き比べてみたいと思います。たまたま手元にあるイヤホンの色がKS1もEDXも白色なので、ぱっと見は非常に似ています。実はKS1の音を聴く前は、KS1とEDXが同じ音だったらどうしようと思って不安でした。しかし、実際に聴き比べてみると、あまりの音の方向性の違いに驚きました。また、イヤホンハウジングの造りや形状、装着感も結構違っていました。今回はKS-1とEDXというアプローチの異なるイヤホンのレビューと同時に、丁度良いタイミングで前回リケーブルのレビューをさせていただいたNOBUNAGALabsさんから、優れたフィット感と遮音性に優れたウレタンイヤーピース(UE-1)をご提供いただいたので、UE-1も使っていきたいと思います。すっかり前振りが長くなってしまいましたが、本日も最後までお付き合いをよろしくおねがいいたします。


NOBUNAGALabsのUE-1は使いやすかったです。



使ってみた

 いつものようまずはパッケージから見ていきましょう。ご覧の通り、パッケージは特筆するところがありません。箱の中でイヤホンが固定されている黒い保護材はペコペコで薄っぺらいプラスチック製で少なくとも高級感はありません。もっとも、こういう部分は高級イヤホン以外はコストをカットしていただいて、限られた予算をイヤホンの性能に全力投球していただきたいと思っています。

パッケージングは安っぽい(笑)


 付属品は、中華イヤホンによくある黒いイヤーピースが3セット(S,M,Lサイズ)と黒い編み込みタイプのケーブルです。ケーブルの詳しいスペックはわかりませんが、LARKに付属していたような銀メッキタイプではなく普通のイヤホン用の銅線だと思います(OFC?)。リケーブル用のコネクタは0.78㎜の2pinで、いわゆるTFZタイプと呼ばれるものだと思います。ちょっと不思議なのはプラグ部分です。L字型プラグなのですがプラグケース部分の淵がダイヤモンドカットされており、どうやらプラグケースはアルミ製のようです。この手の格安ケーブルは樹脂製と相場が決まっているのですが(LARKも樹脂製でした)、まさかこの価格帯のイヤホン付属ケーブルのプラグケースがアルミ製とは思っていなかったので少々驚きました。


純正ケーブルがしなやかで使いやすかったのが意外でした。


 イヤホン本体を見ていきましょう。イヤホンハウジングは樹脂製で、カラーバリエーションは白色と黒色があります。私は白色を選びました。KS1のイヤホンハウジングの質感はつるりとしていて気持ちが良いです(謎)。イヤホンハウジングの造りをKZ社のEDXと比べてみましょう。イヤモニ型のハウジングで同じ白色なので、ぱっと見は似ていますが、あくまでもぱっと見だけで造りは結構違います。


外観も音も似て非なるもの。


 写真のように、ハウジングのボリューム感はKS1の方がEDXよりもスリムです。KS1のノズル部分は金属製で豪華ですが、EDXは樹脂一体成型でいかにもアレな感じです(またもや謎)。ノズルの角度なども違うように見えます。もちろんコネクタも違います。KS1はTFZ2pinですが、EDXはKZのBpinタイプなので、KS1とEDXのケーブルには互換性がありません。もしもリケーブルを考えている場合は間違えないように注意してください。余談ですが、私の耳にはEDXよりもKS1の方がフィットしました。ちなみに、KS1もEDXもハウジングには2か所ベントの穴が空いていますが、電車の中で試した感じだと思いのほか遮音性は結構高めでした。しかし、二か所のベント穴があるので、音漏れは普通~やや多めくらいだと思います。図書館のような静かな場所で、大きな音でリスニングすればやや音漏れが気になる可能性があります。公共交通機関での通勤や通学時に使う場合、最近の日本の交通機関は例のウイルスの関係で窓が開いていることが多いので音漏れが気になるようなことはないと思います。少し余談ですが、冒頭でご紹介したNOBUNAGALabsのウレタンイヤーピース(UE-1)のようなフィット感が良くて遮音性能が高いイヤーピースを使えば、小さめの音量でもリスニングしやすいので大音量による耳へのダメージや音漏れを少なくすることができます。また、UE-1のウレタン素材はやや硬めで、グリップ力が高い質感なので耳にフィットさせた後に丁度良い位置に調整しやすくて非常に使いやすかったです。少々宣伝し過ぎかもしれませんが、おススメできる出来栄えのイヤーピースだと思います。


左がKS1。結構違いますよね(*´▽`*)

 さて、宣伝ばかりしているとブラウザの戻るボタンを押されてしまうので、そろそろ実聴に入ります。使用機材はいつも通りHuaweiのP30Proで、接続はエレコムのDAC内蔵USB-3.5㎜変換ケーブルAD-C35SDBKを使用しました。音源はAmazonプライムミュージックから、LiSAさんの「unlasting」を聴いていきます。「unlastig」は、どことなく異国情緒漂うストリングスの音が印象的です。LiSAさんがエモーショナルに切なくも力強く歌い上げる名バラードだと思います。楽曲が進むにつれて、非常に音が複雑に絡み合ってくる構成の楽曲で、再生難易度が高めの曲だと思うので、みなさんもお手持ちの(性能に自信がある)お好きなイヤホンで一緒に聴きながら、KS1の音を想像しつつ楽しんでいただければと思います。特にエントリークラスのイヤホンとハイエンドクラスのイヤホンで聴き比べると面白い楽曲だと思いますよ。

LARKでもかなり違いました(;^_^A

 0:00〜 ピアノの伴奏から曲がスタートします。KS1はピアノの音が少し弱弱しく、しんみりとして悲しげに聞こえます。一方、EDXではKS1よりも悲しげな中にも前に進む力強さのようなものを感じます。イントロの背後に泡が弾けるような効果音が聞こえますが、これはKS1もEDXも少しクグもった感じに聴こえます。


0:16〜 歌が始まります。まずはKS1。LiSAさん息づかいはハッキリと聴こえますが、楽曲のステージ上(謎)、1~2歩くらい奥で切なく歌い上げる感じです。一方のEDXはステージの定位置で、LiSAさんの歌声の細かい部分まで耳に届けてくれる印象です。中音域のバランスに関しては、KS1とEDXでかなり違いがあります


0:34〜 ベースなどが入ってきます。ここで一気にKS1とEDXの差が出てきます。KS1の低音域は、EDXよりも空間に響く感じで安定した空間を創り上げてくれる印象です。KS1の特徴が低音域にあることが良くわかります。


1:02 サビに入ると、KS1では歪んだベースやドラムといった低音域を支える楽器がしっかりと前に出てくる。この低音域の表現力がKS1の持ち味の一つだと感じます。特別に解像度が高いわけではないですが、歪んだベースのうねりを表現する力は中々のモノで非常に迫力があります。Vocalやストリングス(二胡)のような中音域はリズム隊よりも後ろで埋もれることなくバランス良く鳴ってくれます。一方、EDXは、サビに入るとベースやリズム隊よりも、ヴォーカルが力強く前に出てきます。ストリングスも非常に美しく空間に響き渡る感じで、KS1とは違った聴きごたえがあります


1:37〜 KS1では、間奏部分でバスドラムの重たい響きが空間を支配する中で、中音域のピアノや中高音域〜高音域の何か音(謎)が綺麗に描かれます。一方でEDXはピアノなどの中音域が美しいです。高音域の表現はKS1とEDXでそこまで差を感じません。


1:54〜 2コーラス目は1コーラス目と比べて、複雑に音が入り組んでいて、徐々に再生難易度が上がり、3:15〜 更に複雑に音が絡み合ってきます。この辺りになると、KS1とEDXでは少々限界を感じます。もちろん、音は普通に鳴っていますが、どちらも音場の広さが普通なので、音場の広い多ドライヤホンなどと比べると楽曲の表現にかなりの差が出ます。特に少し高価なイヤホンだと、別の楽曲と言っても良いレベルになることもあるかもしれません。もしも、音場の広い多ドライヤホンがお手元にある方は是非とも試してみてください

BQEYS社のSpring2だと凄いことになります✨


終わりに

 本日はKBEARからリリースされたシングルドライバーイヤホン、低音域の支配者KS1についてご紹介いたしました。KS1はKBEAR社より2000円以下のいわゆるエントリークラスのイヤホンとしてリリースされた、低音域の表現力に力を入れたイヤホンでした。1DDという潔い仕様のシンプルなドライバー構成の低価格帯イヤホンのレビューということで、ここだけの話、最初はあまり期待していませんでした。以前にレビューしたKZ社のEDXが、この価格帯としては突出して出来の良いイヤホンだったので、そのあたりと勝負できるイヤホンは中々ないだろうと思っていたからです。しかも、風の噂で低音域にフューチャーしたイヤホンとの情報があったので、ブーミーで評価に困るイヤホンだったら嫌だなとすら思っていました。

LARKのケーブルだとクールですね(^^♪


 しかし、実際に音を聴いてみて、その考えを変えざるを得ないと思いました。KS1は迫力のある低音を鳴らすにも関わらず低音域の音のこもり感が少なく、低音によって楽曲に安定感と臨場感を与えてくれるイヤホンだったからです。また、低音域だけではなく必要十分なレベルで中音域や高音域を鳴らしてくれるので、特別に低音域がブーミーで聴くに堪えないような五月蠅さは全く感じませんでした。特に今回レビューしたLiSAさんの「unlasting」では、表現の難しい歪んだベースをパワフルに鳴らせる実力を見せて(聴かせて)くれ、逆に控え目な中音域が楽曲の切なさを表現してくれたような気がします。


シングルDDだからこそ、微妙な変化がわかるのかも。


 今回は思わずいつもよりも長々と楽曲の実聴インプレッションをお届けしましたが、KS1とEDX両者ともに、非常に個性ある音作りがされており、Amazonでの実売価格が2000円以下のイヤホンとは思えないくらい楽しめるイヤホンでした。ベースやドラムのようなリズム隊が担う低音域の迫力と臨場感を楽しめる低音域の支配者KS1と、伸びやかな中音域でヴォーカルやピアノ、ストリングスやエレキギターの魅力を引き出すEDX、それぞれ、どちらも捨てがたい魅力を感じました。今後、どこかのメーカーがKS1とEDX両者の良さを兼ね備えたイヤホンを3000円くらいで出してくれると面白いと思います。また、今回の経験からシングルDDのエントリークラスイヤホンが非常に気になる様になりました(TINHIFI気になります)。また、沼が広がってしまった気がしつつ、本日も最後までお読みいただきありがとうございました。



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